時系列①

まるで月の光のように

――セラさんは今日も変わらず冷静だった。地下格納庫での情報共有を兼ねた会議。無駄のない丁寧な所作で資料を配り、隊長たちの質問に端的に答えていく。彼女の淡い金髪が、重たい空気に似合わず、ふわりと揺れている。青みの混じるグレーの瞳が、その上の長…

そっと蓋をする

「……失礼します。今夜の報告書を――」ノックをしてから扉を開けたセラは、そこで思わず息を呑んだ。灯りの落とされた私室の奥。書きかけの書類が机の上に散らばる中、ジランドは背凭れに身を預けたまま、静かに目を閉じていた。額の髪がわずかに乱れ、片手…

不意の距離

セラがジランドの補佐となり、2旬——十数日——ほど経った頃。執務室の奥、書類棚の前。 報告書の確認を頼まれたセラは、背伸びしながら上段のファイルに指先を伸ばしていた。「……届かない……」小さくつぶやいたその声に、すぐ後ろから低い声が落ちた…

躓いた先

日がまだ高い昼下がりの執務室。セラが進捗報告を終え、退室しようとしたその時だった。「では、失礼――」手にしていた資料をジランドに渡し、くるりと振り向いたセラの足が、 ふと、カーペットの縁に引っかかった。「あっ……!?」バランスを崩し、今し…