ようやく開いた備品庫の扉から差し込む光。
その向こうに立っていたのは――
「よっ、なにやってんだお前ら。密室で“いい感じ”だったみたいじゃねぇか?」
――アルヴィンだった。
「「っっっ!!?」」
セラは慌てて体を離し、顔を赤らめながら立ち上がる。
リースはというと、脱兎のごとく飛び退き、荷物棚に後頭部をぶつけた。
「い、いえっ、これは、そのっ、誤解でっ!!」
「あーあー、わかってるわかってる。誰も“何かした”なんて思ってねぇよ。
……けどまぁ、見た感じ“事故った”な、リース」
ニヤニヤと笑みを深め、肩をすくめるアルヴィン。
「それとも――事故に見せかけて、実はけっこー狙ってた?」
「違いますっ!! そ、そんなことするわけないじゃないですかっ!!」
あまりの勢いに、顔を真っ赤にして反論するリース。
セラはそんな様子に思わずくすっと笑みをこぼす。
「アルヴィンさん、からかいすぎです。リースくん、本当に困ってしまってますよ」
「へいへい。でもさぁ、セラ。
あんまり無防備な顔で笑うと、真面目な後輩くんがまた事故るぜ?」
「えっ……あっ……す、すみません……?」
アルヴィンの言葉によくわからないまま謝るセラ。
その隣で、リースは真っ赤なまま俯いた。
「……アルヴィンさん、意地悪です」
「可愛い後輩の青春を応援してるだけだって。な、リース? ――で、どうだった?」
「どうって何ですか!!」
「その……密着感とか、柔らかさとか?」
「帰りますっ!!!!」
リースは赤面したまま走り去っていった。
背中は羞恥と焦燥で真っ直ぐだった。
「……リースくんを変にからかうのは、やめてください」
「なーに、いい刺激になったろ。あいつは真面目すぎるからな」
セラはあまり腑に落ちてない様子でひとつため息をつくと、一言挨拶を残して持ち場へ戻っていった。
その背を見送りながら、アルヴィンが目を伏せつつ口元をほころばせて、ぽつりとこぼす。
「……ほんと、真面目すぎてかわいいよ。お前ら二人とも」
その声には、あたたかな柔らかさがたしかに滲んでいた。