ソファに寄り添い、言葉少なに手を重ねるふたり。
ぬくもりに包まれた静寂の中、ジランドは視線を落とした。
セラの睫毛は伏せられ、やわらかく揺れる金の髪が頬にかかっている。
呼吸は浅く、きっともう眠りかけているのだろう。だが――
「……セラ」
名を呼ぶだけで、セラは瞼を開けて彼を見上げた。
ぼんやりとした瞳に、瞬きがひとつ。
「……まだ起きてます」
その声はまるで夢の余韻のように曖昧で、
ジランドの喉奥から、小さな笑いが漏れた。
「そうか」
彼はそのまま、指を絡めた手をそっと離すと、代わりにセラの頬へ触れた。
親指の腹でなぞるように、しっとりとした滑らかな肌を確かめる。
「……冷えたか?」
「少しだけ……でも、ジランド様が……」
言いかけた声は、指先が頬から耳元へと滑ったことで飲み込まれる。
細く整った耳の縁に触れ、髪をかき上げるようにして首筋へと手を添えると、
セラの肩がわずかに跳ねた。
「……っ」
「お前は無防備すぎるな。……触れたくなる」
ジランドの声は、低く静かだったが、熱を孕んでいた。
彼はソファの背に片腕を回し、自然な動きでセラの体を引き寄せる。
抗う間もなく、彼女の身体はその胸元におさまり、ぴたりと寄せられる。
「ジランド……様……?」
耳元に熱がかかる。
髪をかき分け、皮膚に触れる吐息が肌を撫でると、セラの指先が震えた。
「……落ち着いてきたと思ったが、どうも俺の方が駄目らしい」
囁かれた言葉に、セラは恥じらうように瞳を伏せる。
「……あの、まだ眠ってないって……言ったから……?」
「そういうことだ」
軽く触れる唇が、頬に、耳に、うなじに。
どこもやさしく、けれど確かに“恋人”としての境界線をなぞるように。
セラは目を閉じ、身を委ねた。
その手は、彼の服をそっと掴み、小さく指を震わせながらも、拒むことはない。
やがてジランドの手が肩を滑り、薄手のカーディガン越しに背中を撫でる。
その動きには、焦りも欲もなかった。
ただ、確かめるように――愛おしむように。
「……すこしだけ、いいだろう」
囁かれた言葉に、セラがこくりと頷いたとき、
ふたりの時間はまたひとつ、深く満たされていった。