時系列③

世界の片隅

灯りを落とした私室には、低く唸る船の稼働音と、空調の微かな吐息だけが響いていた。 夜のジルニトラは、今日も静かに大海を漂い続けている。ソファの上、セラは夜着姿で毛布に包まれたまま、ジランドの隣にもたれかかっていた。 読書をしていたはずの…

満ちる、ということ

どれほどの時間が経ったのか、わからない。熱に浮かされるような感覚のなかで、それでも私は、はっきりと「この人の腕の中にいる」ことだけを理解していた。彼が、私を見つめている。その目に映るのは、部下としての私ではなく――今だけは、ただ一人の“女性…

触れられないまま、触れていたい

いつもの空気とは少しだけ違う、朝の静寂。すでに目を覚ましていたジランドは、 隣で眠るセラの方へ、ゆっくりと視線を落としていた。彼の肩に、柔らかな重みがある。――ゆるくウェーブのかかったブロンドの髪が、そっと彼の胸元に流れていた。その髪の合…